参考症例
Cases神経を残したい
2018.06.21(木)
医療従事者向けの投稿になります
様々な根管充填材が現状歯科の現場では手に入る状況にありますが、歯にとって最高の根管充填材が生まれつき持ち合わせている歯髄である事は議論のないところと思います。
我々歯科医師は症状のある不可逆性の歯髄炎に対しては抜髄処置を行わなければならないことも臨床の場においてはよく遭遇することと思います。
深いう蝕や外傷によっての露髄においても診査を行った結果、歯髄を保存できる可能性があれば患者さんにお伝えいたします。
ただし患者さんが考えるよりも治療の過程は複雑です。
治療する側もいつも様々な判断に迫られます。
下の写真は下顎大臼歯の露髄した冠部歯髄です。
箇所によっては血色が違うところもあります。
治療においては健全な歯髄の状態を理解しておく必要もあります。
細菌によって炎症を起こし始めている、不可逆性の炎症なのか、可逆性の炎症なのか、臨床においては原因の細菌すらマイクロスコープを使用しても確認することはできません。
歯髄の診断を含め、様々な判断や知識が必要とされるこの生活歯髄療法は本当に難しいです。
少なくても根拠があると言えるものは、術前の診断、術中の確認をしながら治療を進めることだけです。
術中の写真になります。治療のプロトコールは非常に多くそれを1つづつ行っていきます。
追記になりますが、昔言われていた露髄の範囲が2㎜以内でないと成功しないということは無くなりました。
露髄部分から炎症性の歯髄を除去し、出血が止まる(健全と思われる)歯髄組織を残しました。
治療はメインの1回目と含め2回の通院で行いました。2回目は覆髄材の硬化確認とコンポジットによる封鎖を行っております。
残存歯質も少なく将来の破折の可能性を下げるためにかかりつけの先生に補綴処置をしていただきました。
現状 疼痛などもなく今後もこの状態を維持していただけたらと思います。
若い患者さんでしたが治療に前向きに協力していただき大変感謝しております。