参考症例
Cases本当に神経を取る必要があるか 神経を残す治療
2018.08.31(金)
医療従事者向けの投稿になります
本当に神経を取る必要があるか
患者さんがいらしゃいました。
右下4番は最近しみるようになってきたので、歯医者に行ったら虫歯が大きいので神経を取らなくてはならないと思いますと先生からお話があった。
専門のところならもしかしたら取らなくて済むかもしれないということで紹介してもらった。
確かにう蝕は大きそうで、歯髄腔に近接している状態と判断されます。
多くの先生方は歯髄の保存をお考えになると思いますし、私も同じ気持ちです。
ほとんどの患者さんが残せるものならと思って来院されます。
残念ながら全ての歯が生活歯髄療法を行えるわけではありませんので、複数の診査を行い総合的に歯髄を保存できるかを確認していきます。
先生方もご存知のようにたとえ露髄部が2㎜を超えていても残存する健全歯髄の大部分を保存することも条件が見合えば可能になります。
私たち専門的に歯内療法に従事している歯科医師は露髄の大きさだけで抜髄を行うかどうかの判断はいたしません。
生活歯髄療法には
1)間接覆髄
2)直接覆髄
3)部分断髄
4)(全部)断髄
がありますが、本ケースでは露髄を確認後、う蝕が歯髄まで到達していたため、上部の歯髄の感染が確認され、歯髄からは炎症性の出血を確認しました。歯冠部歯髄の除去までを行ったのちに炎症性の出血が無くなりましたので結果として断髄処置を行っております。根尖側の健全歯髄の保存が可能になりました。
治療前半に遠心部う蝕を除去し、コンポジットにて隔壁を作り、その後ラバーダム防湿環境下にて治療を継続しております
生活歯髄療法での処置回数は1回と短期処置(このケースのようにう蝕による広範囲な歯質の欠損を生じている場合には後日かかりつけの先生にて補綴処置を行っていただきます)になりますが、処置は治療をしながらも同時に術中診査も行いますので、治療のステップも非常に多いものになります。
一般の方が思われている虫歯治療よりもより細かな処置になりますので患者さんには長い時間治療にご協力いただきます。
今まで治療を受けていただいた患者さんには治療の重要性をご理解いただきましてこの場をお借りしてお礼申し上げます。
歯内療法を専門に治療させていただいておりますので、歯科医師の先生ご自身の治療に関してのご質問をいただいたり、治療をさせていただくことも多いのですがやはり一番歯の大切さを理解しているのは歯の仕事に従事している我々で、患者さんにも先生方が受けたいと思う治療を受けていただきたいと思っております。
非常に多くの先生方が患者さんの大切な歯のことを考えていただいております。
今後も大切な患者さんの為に連携が取らせていただければ幸せです。