参考症例
Cases再発による治療の繰り返しで
2018.05.15(火)
医療従事者向けの投稿になります。
日頃から多くの先生方からご紹介をいただきましてまことにありがとうございます。この場をお借りしてお礼申し上げます。
患者さんのために、かかりつけ医の先生より歯内療法に関わるご相談を事前にいただくことも多くなりました。
『この歯は治りますか?』という質問になります。
概ね歯内療法専門医が治療を行った際の成功率としては
抜髄処置のケース 95%
根尖に透過像がある根管治療未処置のケース 85%
過去に根管治療がされている再根管治療のケース 70%
オリジナルの根管形態が保存されていないケース50%未満
当然の事ながら、上記の統計的な成功率から再根管治療はどの先生が治療しても抜髄処置の成功率にはおよばない難しい治療になります。
専門医では根管治療を行っても治癒しない根尖性歯周炎、臨床症状は外科的歯内療法で治癒を目指します。
(外科的歯内療法:歯根端切除+逆窩洞形成充填、意図的再植)
根管治療後に治癒しない場合、外科的歯内療法を併用した時の成功率は95%以上になります。
ただし、他の要因が大きな問題を抱えていることがあります。
重度のPであったり、下のレントゲンのような残存歯質が少ないと予想されるようなケースです。
今までに何回も痛みが出て、根管治療を何度か受けていたとのことでした。
歯内療法領域の問題が解決しても、その後残存歯質が少ない歯が患者さん自身の咬合力に耐えられず破折してしまうということは本当に辛いことだと思います。(全くう蝕のない健全歯であっても破折することも当然あります)
病気が治ることと歯が長持ちすることはイコールではありません。
また治療の繰り返しにより残存歯質量は少なくなります。
術直後 根管充填(Pro root MTA)と水硬性セメントでの仮封
幸いにも現在、5年後の予後確認までが出来ていますが、破折してしまう歯も少なくありません。
かかりつけの先生が定期的に咬合の確認、調整をしていただいていることに大変感謝しております。
築造処置後、かかりつけ医の先生により補綴処置(5年経過)
歯は無くなったら増えてきません。そして繰り返し治療を行うことで残念ながら歯は少なくなっていきます。
コンセプトに則った治療により再発の可能性は減らすことができます。
大切な患者さんのために先生方のご協力が必要です。
連携をとっていただける先生がいらっしゃいましたら当院までご連絡いただけると幸いです。