参考症例
Cases歯根端切除術 小臼歯 根管治療後も痛い
2018.07.23(月)
医療従事者向けの投稿になります。
一般の患者さんにおかれましては観血的な資料がありますので、ご覧をお控えいただくことをおすすめいたします。
根管治療後も消失しない痛みや腫れといった症状に対して、次点の治療として外科的歯内療法を行います。
外科的歯内療法には「歯根端切除(+逆窩洞形成、充填)術」と「意図的再植術」があります。
解剖学的な制約がないケースに関して、通常は歯根端切除術が適応になります。
また上下顎7、8番や下歯槽神経の開口部(オトガイ孔)が関係する部位などでは意図的再植術を検討してご提案いたします。
今回の参考症例はご紹介元の歯科医院で根管治療を行なったが、症状の消失しなかったケースになります。
根尖性歯周炎の原因は細菌感染です。
根管治療は根管内の細菌を減らしていくことが目的です。
ただし、相手が細菌であり根管内の構造は複雑なために適切に治療を受けていても病気が治らないことがあります。
上顎第二小臼歯の歯根端切除術を載せさせていただきます。
頬側の歯肉腫脹、打診痛みがありました。
(透過像が上顎第一小臼歯に近接していますが、術前検査では冷温熱刺激試験、歯髄電気診にも歯髄は正常な反応を示していました)
処置中の画像になります。
(術者12時からのポジション)
写真説明
上段
1)浸潤麻酔下にて歯肉切開剥離
2)本症例では頬側の骨の喪失があり骨削合は行う必要はなく、根尖病変を掻爬
3)歯根端切除後、メチレンブルー染色にて切断面の精査
下段
4)逆窩洞形成途中の写真になります。根管充填材と除去していくと根管内壁に健全歯であれば存在しない黒色部分を確認しました。細菌の一種、またはその産生物なのか、いづれにしてもこの部分を含め逆窩洞を綺麗ににする必要があります
5)6)逆窩洞充填後の写真になります
その後、歯肉を元の位置にて縫合して終了いたしました。
幸いにも症状の消失が確認できました。
今後定期的なリコールにて骨の再生を確認していきます。
外科的歯内療法は根管治療で対応できなかったケースにおいて、歯を保存することを目的とした大切な方法です。
透過像が大きいことがすなわち病気が治らないということには決してなりません。
先生方の患者さんの大切な歯に関して当院がご協力できることがあれば何なりと申しつけください。