参考症例
Cases根管治療 原因
2018.07.31(火)
患者さん向けの投稿になります
受診に関してご質問のお電話をいただく中で、
「ラバーダムをして治療してらっしゃいますか?」
とお問い合わせ頂くことが多くなりました。
歯内療法自体の認知度が少しづつでも上がってきていることを嬉しく思う反面、お調べになってお問い合わせ頂く方の多くが、非常につらい症状を抱えていらっしゃることも深い問題です。
歯内療法専門医は術前の診査診断とラバーダム防湿を含む無菌的処置に関して非常に大きな重要性を考えております。
当院でも必ずラバーダム防湿を行い治療を行います。
「無菌的処置環境を整えない状況で行う根管治療は単に感染経路を広げているにすぎない。」
有名な歯内療法の先生の一言です。根管治療においてラバーダム防湿を行う理由はその歯を治すために必須です。
唾液の中にはものすごい数の細菌がいます。
ごく一般的な細菌感染している歯の中 拡大図
どなたが見てもキレイと思う方はいらっしゃらないと思います。
いわゆる歯が痛くなる、歯ぐきが腫れるなどに関連した歯内由来の病気はこの細菌感染が原因です。
そして、当然むし歯にも沢山の細菌が含まれています。
多少でも虫歯が残っている、せっかく治療を受けているのに治療中知らずのうちに治療唾液に乗って細菌がその歯の中に入る、せっかく治療をしたのに次の予約までに歯が少なく仮詰めが取れて細菌が入る、など そんなことはあってはなりません。
以下無菌的処置を載せさせていただきます
治療の開始の際にはどなたにも治療中の疼痛や不快感がないように(一般的に歯の虫歯治療の際に使用する)部分麻酔を行ったのちに
1)詰め物を取る
今までに詰まっているものは全て綺麗に取ります
今までの詰め物の下に虫歯がないと確実に判断できません
その下が虫歯になっているかいないかを直接見て確認するためです
2)何度も徹底的に虫歯の確認をする(染め出し液、硬さ、色調)
3)歯がないところは隔壁を作る
治療中もただ単にラバーダムをしただけでは歯がない部分からは唾液が入るリスクが非常に高いです。
また次の予約までの間にも唾液が入らないように通常虫歯を取った後に詰める材料(多くはコンポジットレジンを使用します)で補強し、治療間で行う仮詰めの材料が取れていくことを防止します。
4)ラバーダム防湿を行う
5)辺縁周囲の封鎖
歯とラバーダムとの間にも隙間が生じているので歯科用のコーキング材で隙間を埋める
6)患歯周囲の消毒
今まで唾液と触れていた歯と治療中に触れる可能性があるその周囲を広範囲に消毒液で消毒する
必ず全ての患者さんにこの無菌的処置環境を整えます。
もう一つ、「マイクロスコープを使って根の治療をしていますか?」という問い合わせをいただきますが、これも必須で使用いたします。
ただし、マイクロスコープを使用したとしても、上記の無菌的処置環境が整われていないままで治療を行っても症状の改善を見込むのは難しいと考えています。
当院ではこの環境下以外での治療は考えておりません。
下の写真はこの歯をマイクロスコープで倍率を上げたものになります。
視野の拡大は叶いますが、マイクロスコープを単に使用しても細菌は減りません。
細菌の除去のサポートにはなり得ますが、細菌自体を除去する機械ではないからです。
根管治療の大前提として、細菌が入らない環境を作る、そして歯の中から細菌を取り除く治療を行うためにその歯が治る方向に向いてくれるます。
少しでも この情報が困っていらっしゃる方の一助のなれば幸いです。